第2号 AI(人工知能)のダメな子?できる子?

2019-06-18

1. AI(人工知能)のダメな子?できる子?

映画でも時代を反映したようなサイバネティックパンク作品を目にする機会が増えてきています。日本発ハリウッド実写映画化作品として『アリータ:バトル・エンジェル』が公開されましたが、この先の未来はそんな風に変わって行き、高度なAI(人工知能)を持ったサイボーグ達が人と共に生活する日々はあるのかなと感じる今日この頃です。劇中でも、個体それぞれの違いが描かれていますが、今あるAI(人工知能)にも「ダメな子」と「できる子」はあるのでしょうか?

2. ダメなAI?

もともとAI(人工知能)は人の作業をサポートし業務改善をしたり、人のように感情に左右されない決定が行えたりと、AI(人工知能)= できる子という式が思いつきます。しかし、 この式を崩し、あえてトラブルを引き起こす様な「ダメな」AI(人工知能)を構築し、それに価値を見出す研究がアメリカのニコラス・クリスタキス教授より提唱されました。

これはネットワーク上のコミュニティーを人間のみと、人間と人間よりも局所的に正しい行動を行うボット(自動で動くプログラム)と、人間とランダムな行動をするボットを含んだ3つのコミュニティーを構成し、あるタスクを指定された時間内に完成するように指示をした研究から分かったことです。人間より正しい行動をするボットを含んだコミュニティーは結果的には人間のみのコミュニティーの結果とさほど差は見られなかったが、適度にランダムな行動をするボットが含まれたコミュニティーは、その行動が人間への刺激となり、コミュニティー内の生産性と考え方の柔軟性の向上が見られ、「人間のみ」のコミュニティーと比べて与えられたタスクを55.6%早く終わらせることができました。

このことから、一概にダメなAI(常に正しい行動を行わないAI)は価値の無いものではないと言えます。意図的にダメなAI(人工知能)として作られたAI(人工知能)は、人間の成長を支援するものだと考えられ、本当にダメなAI(人工知能)は存在しないと言えます。


3. できるAI(良いAI)

では、「できる」AI(人工知能)、すなわち良いAI(人工知能)とは何かを考えてみましょう。AI(人工知能)はその能力、目的によって、人間の脳のように振る舞う汎用性を持ったAI(人工知能)と、使用範囲を限定して能力を発揮するAI(人工知能)の2つに分けられます。

3-1 汎用型AI(人工知能)

単体で人の脳のように振る舞う汎用性を持つAI (人工知能)をAGI(Artificial General Intelligence)と呼びます。多様な作業、目的を達成できる人の脳のような働きをするAI(人工知能)や感情をもとにした思考を理解・実行できるものとも考えられています。しかしながら、このAGIに関しては人間の脳の動きを模倣するなど、脳科学と共に研究をされているAI(人工知能)となり、一般社会に浸透するには、まだ先の話になりそうです。

3-2 特化型AI(人工知能)

こちらは一般的に私たちが目にするAI(人工知能)になります。あらかじめ決められた範囲で高い能力を発揮しますが、それ以外の作業はできません。例えば、自然言語処理を行うAI(人工知能)では画像認識処理はできません。しかし、複数の特化型のAI(人工知能)を併用することで疑似的なAGIを作り出すことが可能になり、AI(人工知能)の終着点であるAGIの一つの形になるのかもしれません。


4. AI(人工知能)の在り方から見える良いAI(人工知能)

では、AI(人工知能)の在り方はどうあるべきでしょうか。人工知能学会元会長の堀浩一教授は「人工知能は道具として捉えていただくのが良いと思います。議論するべきは、その高性能の道具をどのように使うのが最も望ましい方向か、という議論だと思います」と述べています。このことからどのようなAI (人工知能)でも使う側によりその評価価値は変わると言えます。現にAI(人工知能)を導入した事業でも使用目的や、運用方法が明確に定まっていなかったばかりに、導入効果が上がらないといった事例も存在するようです。


5. AI(人工知能)の良し悪し

AI(人工知能)の活用を考える上で、AI(人工知能)自体に良し悪しがあるのかないのかを考えてみましたが、結局はAI(人工知能)の使用目的と、使う側にあるようです。導入すれば絶大な効果が保証されるものではありませんが、今どんな課題があり、その課題をどうしたいのかを明確にすることで、より良いAI(人工知能)との付き合いができるのではないでしょうか?